
デザイナーが集めたデザイナーのためのデザイン資料集
「何もないゼロの状態からは何も生まれない」
良質で考えられたデザインは、様々な参考となる資料があるからこそ生まれ、それが連綿と受け継がれていく。
評価の高いデザイナーほどより多くのデザイン資料に触れ、学び、融合させて自分のデザインを確立させているのだと感じる。
フォトショップやイラストレーターなどソフトの操作は簡単に覚えられても、デザインの感覚を鍛えることは容易ではない。
書店で購入できるデザイン集などの書籍だけではなく、デザインの展覧会やデザインフェスなどの他、デザインに関する資料を数多くブースに展示している複合施設などでは、多方面における分野のチラシやパンフレット、リーフレット、ハガキなどが無料で手に入れることができる。
ここでは、過去15年以上に渡り、自らがデザインのために集めてきた参考資料を、当時どのような気持ちで手に入れたのかを思い返し、再考してみた。
ずらして折ると生まれるリーフレットの利点
二つ折や巻き三つ折など単純に紙を折るだけでなく、少しずらして折ることで両端に余白が生まれ、そこにインデックスを作ることができる。
紙面を広げて中身を見るその前に、読みたい場所へすぐ行ける利便性が生まれるユーザーファーストのデザイン。
カギの形をした自由で遊び心を感じる広告
見た目に面白くかわいいカギの形をした広告。
目立つ色使いは、遠くからでもその存在に気づくことができる。
考えつくされ絞り出されたデザインも意味深いが、その時の瞬間的なヒラメキやアイデアもデザインの大切な要素である。
ジャバラ構造とおしゃれなタブの小冊子
しっかりと手触りのあるクラフト系の印刷用紙を使い、各項目を見開きでジャバラ構造を採り入れて紹介している名刺サイズの小冊子。
手に取りやすいサイズ感や各所に施された見せ方のアイデアはなかなか面白く、今後デザインをしていく上で参考にできる。
三角形にこだわったセレクトショップのチラシ
非常に見た目とデザインの自由度が高く面白い形状をしたチラシで、人の目を引きつけるためには十分インパクトがある。
全体的に三角形の形状を意識したデザインが施され、手描きで描かれた星のイラストを見ると発想の自由さが伺える。
懐かしいカラクリ折り紙のようなリーフレット
子供の頃に工作で作って遊んだ記憶のある、懐かしいカラクリの折り紙がリーフレットで利用されている。
紙を折り返すたびに新たな情報が表れるので、起承転結や喜怒哀楽など、4段階で情報を見せる方法などに適している。
高級感と落ち着きを感じるデザイン
神戸のオリエンタルホテル内で食事を楽しめる店舗の紹介リーフレット。
手に馴染むような上質な紙の質感や、一貫性のあるレイアウト、深みのある洗練された室内写真など、全てがホテルの雰囲気を物語っている。
建物の形状を模した特徴的なリーフレット
建物内のリニューアルに伴い、建物の形をした変形リーフレットを新たに作成するというチャレンジに出た、神戸海洋博物館。
神戸開港150年にあわせてリーフレットもリニューアルされたが、いびつな形状であるため文字や写真のレイアウトが気になった。
アメリカンポップ調の映画リーフレット
遊び心のあるフォントや色使い、自由なレイアウトからは、楽しい内容の映画であることが伝わってくる。
比較的小さな文字は多いが、伝えたい内容を大きくするなどメリハリはあり、アメリカンポップ調の写真や裏面をポスター仕様にしているのは面白い表現だ。
表紙が透明フィルムのクリスマス用パンフレット
12月のクリスマスシーズンには百貨店の店頭にクリスマスケーキのチラシやパンフレットが必ず置かれる。
有名店にもなるとパンフレットにも力を入れているのが伺え、非常にデザインの参考になるため、この時期には必ず訪れて持ち帰るようにしている。
Spiral Independent Creators Festival 15のリーフレット
どうやらシンプルでエンボス加工のデザインに惹かれる習性があるのか、ダイナミックなエンボス加工と銀刷り仕様のリーフレットの美しさを感じ、デザイン資料として保存している。
リーフレットの折りとしても一般的ではなく、非常に特徴的なリーフレット。
サラ・ジー展の変形横長広告
デザイン内容よりも真っ先に紙の分厚さと横長の広告スタイルが目に入り、その存在だけで他のチラシとは完全に差別化されていた。
オモテにある名前と作品のエンボス処理も邪魔にならず印象的で、デザインの資料になると思いファイリングしている。
ロバート・キャパ展覧会のチラシ
世界で最も有名で優れた報道写真家のロバート・キャパによる写真に負けないような、ジャンプ率の高い文字使いや象徴的な色など、インパクトと共に文字の組み方が非常に参考になる広告資料で、紙面全体からエネルギーが感じられるデザイン。
四つ折りの状態でもしっかり情報が分かるチラシのデザイン
チラシを4つ折りにしても、全体のイメージを損ねず情報がしっかりと伝わる広告。たとえポスティングや手配りで小さく折られても、その一部分を見ただけで何の広告であるか伝わることは非常に重要。その気づきやヒントを与えてくれた広告。
トレーシングペーパーを利用して作成されたチラシ
透ける素材であるトレーシングペーパーに、文字の太さや大きさ、色調などをいろいろ調整すると、両面に印刷された文字の濃淡で立体的な表現が可能になる。非常に実験的であり、素材の可能性を示すようなちらしを紹介します。