
「誰にでも良い顔をする」より「誰かにだけしっかり届く」デザインを
せっかく作るデザインあれば、より多くの人に気に入ってもらって反響があるものにしたいと考えるものです。しかし目的やターゲットを十分に絞らずに作ったデザインは、情報に起伏がなく特徴も薄くなりがちです。結果的に期待したような反響も得にくくなり、全体的にぼんやりとした印象のデザインになってしまいます。
誰にでも良い顔をするデザインは、一体誰に届くのだろうか?
デザインは興味を持ってくれる人のためだけに作ればいい
あなたが新聞購読者なら、近所のスーパーのチラシや不動産広告、学習塾の生徒募集チラシなど毎日様々なチラシを見ているでしょう。しかし実際には、無意識のうちにあなたが興味のある広告だけを選り分けて見ています。つまり、自分に関係や興味がない広告を見ようとはしません。それがターゲットです。
商品やサービスには必ず対象となる年齢層や性別などターゲットが存在します。通常はそのターゲットに絞った内容の広告を作成します。それは興味が薄い人に興味を持ってもらうより、興味がある人へ情報を届けたほうが反応が取りやすいからです。集客や周知徹底を図るチラシは電車内のお知らせ広告とは違い結果が求められるため、ターゲットを絞りながら同業他社との差別化を図る必要があります。
起伏の少ない平坦なデザインでは人の心に響きづらい

デザインの仕事を始めた頃は表現力が乏しく、他人の制作物や参考本の作品を真似することで精一杯でした。デザインの本質やターゲットについても考える余裕はなく、表面的な見た目の良し悪しだけを考えて真似る日々でした。内容には強調する箇所がなく平面的で、何を伝えたいのか不明瞭なため結果にもつながりませんでした。
ターゲットの存在を強く意識して内容を重要視し始めたのは「そろばん教室」のチラシを作った頃からでした。立地的に周辺には習い事の教室が乱立する中で差別化できる事柄が何かを必死に考え、そろばん教室に注目してもらう方法を考えました。
一般的な生徒募集を謳うような内容では突出するものがないため、そろばんに感じる既成概念を取り払うことから始めました。古臭く計算にしか役立たないのでは?というそろばん教室に対する考え方を払拭することで、地域内の他の習い事と棲み分けを図れ、一定の結果を得られました。やはりターゲットを絞り込んで情報を考えることは重要だと実感できました。
デザインは万人受けではなく目的やターゲットにだけ集中する
デザインは誰にでも好かれる八方美人を目指すのではなく、しっかりとターゲットを絞り込んで特定の層にだけ響く内容にすることが大切です。デザインを考える以前の情報を整理する段階で目的を明確にしておけば、誰に何をどのように伝えればよいのかが見えてきます。伝えるべき内容がわかれば情報の強弱もわかるので内容に起伏が生まれます。
少しでもデザインを結果につなげたいなら、誰にでもウケが良く起伏の少ないデザインは結果につながりにくいので作る意味が感じられません。