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デザイナーの理想と現実

デザインの作成は依頼者の目的意識こそが重要

デザインのイニシアチブを取るのはデザイナーではなく依頼者

デザイナーにすべてを委ねれば、依頼者の要望をすべて満たせるわけではない。
例えば、美味しいスイーツを食べたり映画に感動したら、あなたはすぐにでもお友達に教えたいと思わないですか?そして、その相手にわかってもらいたいから「何がどのように良かったのか」を一生懸命になって伝えるはず。
それは相手に理解を求めて共感してもらいたいという気持ちがあるから。

もし、自社で開発した製品が他社よりも優れているとしたら、より多くの人に知ってもらえるようにその良さを消費者にわかりやすく伝え、少しでも購入につなげようと考えるでしょう。
「餅は餅屋」とすべて丸投げすることなく、あくまでデザインの主導権はデザインの依頼者本人にある。

まずは現状をデザインでどのように解決したいのかを話す

何の意味や目的もなくデザインを必要とする人はいないだろう。
つまり、誰もが少なからずデザインを通じて消費者に伝えるべきことがあるはずであり、その情報をデザイナーに伝えなければ何も始まらない。
デザインの依頼を初めてする人は、いきなり「どうすればいいでしょうか?」とだけ尋ねる人が意外と多い。
しかしこれだけでは依頼者がどのような情報を必要としているのか理解しようにも不可能に近い。

水道の栓をひねっても水が出ず水道屋へ連絡して「どうしたらいいでしょうか?」と、いきなり尋ねるだろうか?
まずは業者に対して事細かに状況を説明するのではないだろうか?
デザインを依頼する際も同様に、まずはご自身の現状を説明し、その問題をどのようにデザインで解決したいのか話す必要がある。

デザインの丸投げを受けていないのには理由があるく

印刷物のデザインはそれぞれがオーダーメイドで、依頼者一人ひとりのこだわりのもとデザイナーがその代弁者となって具現化する。

例えば注文住宅で家を建てる際、木材や建具の素材、種類、部屋の間取りなど一式すべてを工務店の担当者に丸投げして作ってもらうだろうか?
家だけでなく、フルオーダーで注文できるのに、わざわざ「おまかせ」を選ぶだろうか?
それならば、最初から完成している建売物件や既製品を購入したほうが賢明だろう。

つまり、好きなもの・大切なものに対してこだわりがあるように、ビジネスにもこだわりがあるはずで、「他社と同じ事業内容を真似ていいので」や「会社案内を渡すからその内容で」など、一切のこだわりが感じられない依頼は、デザインの目的やゴールをはっきり決められておらず、デザインする意味を感じられない。

デザイナーはあくまで依頼者の考えや気持ちなど、依頼者だけでは表現しきれない内容を依頼者に代わって表現する役割であり、依頼者の気持ちが込められていないデザインはデザイナーのやるべき仕事だとは感じない。
金儲けするためだけなら丸投げのデザインでも引き受けるだろうが、そんな面白みのない仕事をしたいとは思わない。

デザイナーの創造物にならないためにもデザイナーを操ればいい

商品やサービスを売りたい、広めたい、売上を上げたい、良いものを作りたい。
そう思っているのは依頼を受けたデザイナーではなく依頼者本人であり、本質的なこだわりまでデザイナーに依頼すれば、それは単なるデザイナーの創造物でしかなくなる。
本来は依頼者自身が主導権を握り、デザイナーを思いのままに操って自分の理想に近づけるような扱い方が理想的である。
例えば、依頼者自身で悩んだ末ご自身でデザインするというのであれば、最も賢明で消費者に伝わる優れたデザインになるかも知れない。
それは、伝えたい情報に最も詳しいのは依頼者本人で、その本人がデザインをするからだ。

デザイナーに依頼すれば必ず商品が売れて集客につながる、そんな打ち出の小槌を振るようにはいかない。
必ず依頼者自身でその目的や目標、こだわりなどを丸投げせずに十分考えて、どのような内容のデザインが必要なのかという希望や想いをしっかりと持っていただきたい。

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