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デザイナーの理想と現実

「あはき法」という時代遅れな法律の壁

あはき法にはデザイナーの踏み入れる足はない

広告活動とは、消費者に対してモチベーションとなる情報を届け、購買意欲や認知を促すことであると考えている。
あん摩マッサージ指圧業、はり・きゅう業に関しての広告活動は法律で極端に制限され、自由な広告活動が行えないことになっている。

法律を守らなければならないのは大前提。

しかし、全ての事柄が法律で片付くとは思えない。

数多くの人間が共に生活する中で統制を取り秩序を保つために法律は存在するが、時としてその法律も時代に応じた変革が必要ではないだろうか?

あはき法で制限された情報量の広告はデザイナー要らず

広告のデザインに携わって15年以上が過ぎ、鍼灸院や整骨院などの制作依頼も近年増えてきた。
しかし、これら業種における広告は一般企業や店舗などとは違い自由な広告活動が規制され、法律で表現に数多くの制約が設けられている。
いわゆる「あはき法の第7条」などがそれにあたる。

「あ・は・き」とは、あんま・はり・きゅうの頭文字であり、これらの業種に関する広告については法律上様々な取り決めがなされている。
その内容を目にしたとき、広告を作る側として感じたのは、その少なすぎる情報量と広告自体の不要論だ。

あはき法
まず、これら業界では最低限の情報提供だけが許され、積極的な客の誘引や集客は認められていない。
あはき法に準じた内容のチラシをわかりやすく明示してみたが、この程度の内容であればデザイナーは不要であり、院長もしくはスタッフ自らがチラシを制作して手配りしたほうがよい。

本来チラシなどを利用した広告活動は、集客や周知、販売促進などを目的とし、より充実した内容で他との差別化を図り情報を提供する必要があると感じており、このような血の通っていない文字主体の画一的な情報だけでは単なる掲示に過ぎず、自分が目指す広告とは掛け離れすぎている。
そもそも運営者の感情や想い、患者に与える選択肢となる情報がなければ消費者に対しても不親切に感じる。

法律という壁が事業者と患者の著しい機会損失を招いている

「あ・は・き」の各業界で広告物に掲載できる内容は、店舗名や連絡先、営業時間、休日、住所、地図、店舗写真、室内写真などで、あくまでも条文に記載されている項目以外を掲載すれば違法だという。
つまり、キャッチコピーや文章、URLやメールアドレス、料金、施術の流れ、特徴、対応できる症状などは患者を誘引するため掲載不可能だそうだ。
しかし、新聞折り込みやポスティングされる「あ・は・き」関連のチラシを見ると、内容盛りだくさんの違反チラシを多く目にする。
つまり、我々が日常的に目にしている「あ・は・き」関連のチラシの9割以上は法律に違反している。
一般的に、消費者や他店から保健所へ通報があるなどしない限り罰せられない。
「あ・は・き」の事業者は学校などで法律についても学習するため、広告物に掲載できる内容についても法を破った場合の罰則についても詳しく理解しているはずである。
にもかかわらず法律に反した広告物を配布するのは、様々な思いがある中でも法律に即した広告物では十分に想いが届かず、消費者に理解してもらえないという思いがあるからだろう。

時代の「遺物」が今や「異物」と化して鎮座している

そもそも、あはき法が制定されたのは昭和22年のことであり、内容は繰り返し改訂され続けてきているものの、中心的な内容はそのまま残り続けている。
大昔に作られてそのまま置き去りにされ鎮座し続けるこの古くさい法律が、現代の世の中においても十分機能しているとは思えない。
法律も時代や社会情勢などと共に変化すべきだと感じる。

「あ・は・き」の広告活動は放置され野放しの状態なのが現状

それでは管轄している保健所の対応状況はどうだろうか?
「あ・は・き」の広告を制作するにあたり直接保健所にチラシを添削してもらったことがある。
「○○以外は掲載できません。」と指摘されたので、「このような表現に変えても無理ですか?」と提案すると、「条文に明記されている内容以外は入れられません、法律ですから」の一点張りで、何故入れられないのか説明は一切なかった。
おそらく担当者レベルでは十分に内容把握できていないのだろう。

また、違反した場合のことを尋ねると、
ポスティング先の住人や同業者から広告に対して通報があれば、保健所の職員が通報先の店舗を訪れて運営者に対して指導を行うという。
最悪の場合30万円以下の罰金もあるそうだが、ほとんど指導止まりでそれ以上のことは行わないという。
通報が無い場合は何もなかったかのように知らぬ存ぜぬを貫くのだろうか?

では、保健所は本当に自由な広告活動をやめてもらいたいのだろうか?
違法業者ではない限り開院するにあたっては登録が義務づけられており、業者の存在を保健所は把握している。
本当に自由な広告活動を阻止したいのであれば、広告する場合は保健所を通さなければ広告できないという法律を作り、違反すれば営業停止や免許取り消しなど、厳しい罰則を設ければ済む話だが、そこまではしていない。
これは電車内での携帯電話に関する注意喚起に似ている。
「電車内での通話はご遠慮下さい」最近ではすでにアナウンスの一部となってしまい誰も気に留めることがなくなっているが、本当に阻止したければ車両全体にシールドを施すなど通話不可能にすればいい。
また、保健所の職員すべてが広告の目的や役割について考えたり理解しようとしないため、法律が時代にあっているのか真意もわかっていないため、「何故だめなの?」という疑問に対して「法律だから」としか答えられないことにも大いに問題がある。

あはき法があくまでも消費者に対して正しい選択をさせるための広告活動を謳うものなのであれば、単なる「掲示情報」ではなく消費者に正しく選択の余地を与えるような、より豊かな情報提供ができる環境整備をしてもらいたい。

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