
最小要素で最大の情報とインパクトを与えるデザイン
この素材は本当に必要なのか?
紙面上を構成するデザイン要素にはそれぞれ理由があり、何となく並べているわけではありません。情報量を増やすため適当に要素を加えると、本来の意味や目的が薄れてしまいます。本当に良いデザインは、目的に応じて最小限の情報量だけで構成された見やすくシンプルなデザインだと感じます。
世の中のデザインは徐々にシンプル思考に
デザインの仕事をはじめた頃、Photoshopのフィルター効果であるエンボスやドロップシャドウなど、見た目をリッチにする加工を積極的に利用したデザインが主流でした。時代の流れとともにリッチコンテンツは廃れ、スマホのUIに利用されているシンプルなフラットデザインが現代デザインの主流です。画面表示の速さや見た目もわかりやすいためWebコンテンツのデザインに採用され、スマホの利用者増加に伴って画面設計でもフラットデザインが導入され、後に銀行ATMや駅の窓口など様々な場所のUIにも利用されるようになりました。
スペースを埋めているのではなく紙面の要素には理由がある
紙面を有効活用するために空白を作らず情報で埋めたいというのが一般的な心理でしょう。空いたスペースを写真やイラストで埋めようとする人もいますが、余白にも大切な情報や役割が存在するため安易に埋めるべきではありません。また、情報を詰め込みすぎたり補完するためだけの装飾は情報を薄めるため、不要な要素は極力排除するのが鉄則です。デザインする時は、構成する要素を見ながら「なぜこの要素がここに必要なのか?」を考えながら作成し、迷った場合は必要がないと考えたほうが正しいかも知れません。
少ない要素で最大限の情報を届けられるデザインこそ究極のデザイン
一瞬にして人を惹きつけたり判断を迫るような内容のデザインこそシンプルさが求められます。例えば、交通標識や道路沿いの看板などです。街中の様々なピクトグラムも国際的な標準化が進められ、誰もが簡単に理解できるデザインが必要で、これも究極のデザインと言えます。
少ない要素で最大限の情報を伝えるデザインは容易ではありませんが、多くのデザイナーが目指すべき理想のデザインだと思います。その他にも、文字や写真など従来からの情報ばかりでなく印刷物なら用紙の質感や素材など、人間の五感に訴える要素もデザインのひとつです。情報量は多いほど良いわけではなく、必要性を考えながら取捨選択してデザインすることが大切です。