基本的な考え方や知識など忘れがちな情報を呼び覚ますために
グラフィックデザイナーとして独立した当初、それまで専門学校などへも通ったことがなかったため、デザインについて何か体系的に学べるような書籍でデザインの知識を深めたいと考え、書店で探した結果見つけた書籍のひとつです。
現在でも、デザインや広告などを学べる専門的な書籍は海外版を翻訳した本が多く出版されています。
しかし、紹介事例が海外ベースのため、日本国内の事情とは若干異なる箇所が含まれるため、参考にするときは注意が必要です。
本書は、デザインにおけるカラーやレイアウト、フォント、ソフトの操作など、グラフィックデザイン全般の基礎的な知識から各種商業デザイン別での作成方法まで、網羅的に紹介されています。
出版年月が2005年10月という、私が独立して間もない頃に購入した書籍のため、掲載内容は全体的に情報が古めかしく懐かしさがあります。
紹介されているパソコンソフトの図表などは当時最新バージョンや、現在では使われていないソフトも紹介され、あまり参考にできない箇所もありますが、根本的な考え方や知識としては十分役立ちます。
各セクションには小さなワークショップが用意され、自分で考えることで深く理解できます。
最も知識として役立つと感じた箇所のひとつは、数々のフォントの歴史や成り立ちが紹介されているページです。
各時代背景の中で登場したフォントがどのように発展し、別の新たなフォントの登場につながるのかなど比較的詳しく紹介されているため、日頃何気に使用しているフォントについて新たな発見ができます。
デザインの考え方や基本的な事項については、海外と日本で大きな違いは感じませんでした。
しかし、紹介されている事例や図案が海外の作品で、例えば日本語フォントと欧文フォントではレイアウトや構図の印象がまったく異なるため、参考程度に考える必要があります。
書籍全体の印象は、デザインを始めたばかりの人やデザインに興味がある人が最初に得る知識として役立つ印象です。