デザインに対する洞察力の重要性を再確認できる内容
デザイナーでありながら、これまで専門課程などを経ることなく独学でデザインを学び考えてきた。
このあたりで一度初心に戻り、デザインそのものに関して体系的に学べる書籍がないか探す中で出会った一冊。
本書はグラフィックデザインに特化された内容ではなく、広義におけるデザインという全体の枠組みを知り、その表現のひとつとして狭義のグラフィックデザインについて書かれた本である。
デザインに興味があるすべての人を対象にモノの見方や考え方を実践的に解説している。
全体を6章に分け、現在の自分自身のデザインレベルを知ることから始まっている。
既存のデザインをじっくり眺め、届けたい思いや意思などコンセプトを見つけ出す作業や、構図・レイアウト・配色などについて実践的に進める項目が用意され、実際に考えるトライアルは理解を深める助けになる。
最終章ではグラフィックデザイナーの18のセオリーが紹介され、デザイナーとして課題との向き合い方が実践的に示されている。
著者のOCHABI Instituteは歴史ある美術学校であり、執筆者や監修者はその創立メンバーの面々である。
1955年創立以来、一貫して美術やデザインを専門とした学びの場を提供してきただけあり、専門性は高く学ぶ部分は多くある。
既存の商品やデザインを表面的に真似るだけではなく、どのような意図で作られたのかをじっくりと考えることで、モノの見方が変わることや考えの深まりを学べた。
その他にもクライアントに依頼されてからの考え方やレイアウトの手法など、徐々に意識しなくなってしまいがちな部分を再確認することができた。
本書はしっかりと文章もありながら、イラストや写真、作例などを大胆に散りばめて構成されているので読み進めやすい。
デザインを始めたばかりの方はもとより、デザイナーを何年も務めたベテランの方でも新たな発見があるはず。
特にフリーランスデザイナーはそれぞれ独自の考え方や仕事の進め方を持っているものだが、新たに取り入れるべき考え方や進め方など情報が多く含まれている。
同種の書籍を多く読むことで知識や考え方など情報が蓄えられ、これまで以上に効率的でロジカルなデザインの作業が行えると確信した。