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作品集

学習塾の生徒募集チラシ
学習塾の生徒募集チラシ

不合格者数を強調して学生に危機意識を持たせる学習塾のチラシ

デザインの概要と考え方

合格者数ではなく不合格者数を強調する学習塾の生徒募集チラシをデザインしました。
驚いたことに、提案されたのは合格者ではなく不合格者数を大きく取り上げたいというもので、この思いつきは常に子どもたちの教育環境に身を置く塾講師だからこそ思いつく発想だと感心し、物事に対する発想や考え方の勉強になりました。
ある種異例とも取れる提案を受け、あらかじめ提供された不合格者数の数字と頭を抱える男子学生の写真を組み合わせ、誰もが合格を勝ち取る事はできず不合格者も多いことを強調しています。
事実に基づいたネガティブな情報を大きく取り上げることで、焦りや危機感をもたらす狙いがあります。

一般的な学習塾のチラシは「高い合格者数」や「優秀な講師陣」などポジティブな言葉が踊るのが一般的ですが、少子高齢化で子供の数が年々減少し続ける中で学習塾が生徒を確保するには奇策が必要だと思います。
このチラシを手にした学生や父兄たちが少しでも「より勉強をしなければ!」と危機感を感じてもらえれば、狙い通りと言えます。

真剣な表情をした女子生徒が背筋を伸ばして手を挙げるイメージや、ノートを取る学生に講師が指さしながら指導しているイメージなど、学習塾のチラシで使用される写真は代わり映えしません。
特に大手の学習塾は保守的で、差別化を明確に図るような攻めたデザインを見かけることは少なく、小中規模の学習塾でさえ一般的によく見る内容や構図は多いです。
今回のチラシのデザインは、そのように一般化されつつある学習塾の広告に一石を投じるデザインだと思います。

今回、学習塾のチラシで男子学生が頭を抱えて悩む写真を使ったことは、学習塾がネガティブな内容を掲載すべきではないという囚われから脱却し、万民受けする平坦で起伏のない情報を提供するのではなく、人間の琴線に触れる緊張感や危機感を与える必要を感じたからだと思います。
学習塾のチラシに限らず業種ごとに似通ったデザインになりやすいのは、反応率や集客率など長年の経験則で落ち着いた結果だと思いますが、消費者マインドは時代とともに常に変化を続けるため、過去から学んだ一般的概念を壊すことも時には必要だと感じました。

◎依頼された経緯や目的は? よく見る内容のチラシでは望む集客が得られず、他の学習塾と差別化するため不合格者数を目立たせたチラシの作成を依頼されました。
一般的には合格者数や成績に関するポジティブな情報を掲載しますが、見慣れているからか反応率は低いようです。

◎最もこだわったポイントとは? 提供された都立高校の不合格者数と頭を抱える男子学生の写真を利用して、多数の合格者がいる裏で実は驚くべき不合格の学生がいることを綴りながら、文章全体に勢いをつけてその事実を聞いて頭を抱える学生の写真と組み合わせ、現実の厳しさを強調しています。

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